国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Rosewood London

 

ホテルゲストはエドワード朝の壮大な中庭に通じるアーチ道を通って
    正面エントランス車寄せに到着すると、ある種の高揚感が湧いてくる。

 
 ローズウッド ロンドンは時代を超越した伝統的なホテルである。エドワード朝様式の象徴的な建物は、これまで大手保険会社「The Pearl Assurance Company」の本社オフィスとして使われていた。その後、建物はホテルに改修され、2001年より「Renaissance Chancery Court London」という名称で営業していた。後にローズウッド ホテルズ&リゾーツの傘下に入り、「Rosewood London」として再オープンしている。大理石を多用したベルエポック期の重厚な建築物の内装は、Park HyattやMandarin Orientalのデザインも手がけてきたトニー・チー「Tony Chi」の手腕によって、保険会社の面影を払拭させスマートな姿に生まれ変わっている。


 
 ローズウッド ロンドンはシティとウェストエンドの間、ハイ・ホルボーン通り沿いに位置し、建物の中央上部にドーム状のクーポラを配置した独特の外観は威厳さえ感じる。ホテルゲストはエドワード朝の壮大な中庭に通じるアーチ道を通って正面エントランス車寄せに到着すると、ある種の高揚感が湧いてくる。ホテル所有のリムジン“JaguarXJL Saloon”での送迎なら尚更のことであろう。ゲストの到着と同時に爽やかなサマースーツのベルスタッフたちが軽快にトランク類を運び、専任バトラーが挨拶をしてゲストを部屋に案内する。


館内は大理石を多用したベルエポック期の重厚な建築物の内装で、ルネサンス様式の7階まで続く総大理石の壮麗なステアケースは圧巻だ

 
 ローズウッド ロンドンは44のスイートを含む全306室を擁し、2013年に開業した。館内は大胆でゴージャス、モダンでありながら機能的でエレガントな抑制美に魅了される。今回は約85㎡の広さを誇るスイート「Grand Premier Suites」を紹介したい。高級ウッドパネル、豪奢な調度品など気品あるスイートで、もちろんバトラーサービスも付く。ダイニングは充実しており、ロンドンのパブをイメージした「Holborn Dining Room」、スタイリッシュなラウンジダイニング「Mirror Room」。そして、店名が英国の有名風刺画家Gerald Scarfeに由来する「Scarfes Bar」などだ。スパ施設「SENSE A Rosewood Spa」にはセレブリティ御用達のヘアサロン「Matthew Curtis Hair Salon」が店を構え、高評価を得ている。


 

 ローズウッド ロンドンの建物は市の重要建築物に指定され、パブリックスペースや回廊にも見どころが多い。キューバ産のマホガニー、7種類を多用した大理石、そしてルネサンス様式の7階まで続く総大理石の壮麗なステアケースなど目を奪われる。細部から外観に至るまで、そのこだわりと完成度において他の追随を許さないローズウッドブランドの贅沢さを満喫したい。


ローズウッド ロンドンはシティとウェストエンドの間、ハイ・ホルボーン通り沿いに位置し、建物の中央上部にドーム状のクーポラを配置した独特の外観は威厳さえ感じる

ホテルゲストはエドワード朝の壮大な中庭に通じるアーチ道を通って正面エントランス車寄せに到着する

通称「ブロンズ・ギャラリー」と呼ばれる回廊。いかにもトニー・チー「Tony Chi」らしいデザイン手腕によって、シノワズリーな雰囲気を醸し出している

左手にレセプション、右手にコンシェルジュデスクを配置したスタイリッシュなエントランスホール

ラウンジダイニング「Mirror Room」。館内中央部に位置し、大胆でゴージャスな雰囲気に魅了される

店名が英国の有名風刺画家Gerald Scarfeに由来するメインバー「Scarfes Bar」

メインバー「Scarfes Bar」の奥はライブラリーラウンジになり、クラブ感覚の雰囲気だ

ロンドンのパブをイメージしたダイニング「Holborn Dining Room」

スパ施設「SENSE A Rosewood Spa」にはセレブリティ御用達のヘアサロン「Matthew Curtis Hair Salon」が店を構え、高評価を得ている

ベッドルームからリビングルーム方向

天井高が際立つリビングルーム。一見シンプルな設えだが機能的でエレガントな抑制美に魅了される

「Deluxe Suite」内装は、所々に金箔があしらわれたルイ16世調のインテリアデザインを持つ

完成度において他の追随を許さないゴージャスなバスルーム