パリの数あるホテルの中で揺るぎない王道を行くホテルが「Four Seasons Hotel George V, Paris」である。パリのエレガンスを象徴しているかのようなホテルだが、ネーミングは英国王“ジョージ5世”であり、建物を建てたのはアメリカ人という変わり種。しかし完成後はフランス人のフランソワ・デュプレーが買収し、あらゆる情熱を注いで最もフランス的なホテルに育て上げた。館内がノーブルな雰囲気に包まれているのは、至る所に配置された美術品のためで、第一級の絵画、タペストリーなどを鑑賞できる。ジョルジュサンクは美術館そのものであり、この空間にさりげなく接するぜいたくは、また格別のものと言えよう。
前身は1928年に完成した8階建ての美しいアールデコ様式のホテル「George V」で、歴史的建造物に指定されている。1999年にフォーシーズンズの傘下に入り、3年間に及ぶ全面改装を経てリニューアルオープンした。修復された18世紀のタペストリーや華麗なアートコレクション、ホテル内を鮮やかに彩るフラワーアレンジメントなどがパリのエスプリを感じさせる上品な雰囲気を演出している。なお、ジョルジュサンクは2011年9月にフランス全体で9番目のホテルとして「PALACE」に認定された。
ジョルジュサンクはスイートを含めて全244室の魅力あふれる客室を用意している。筆者にアサインされた部屋は約60㎡の広さがある「Four Seasons Suite」で、気品あるスイートに付帯したテラスからパリの街並みが楽しめる。ホテルの中心に位置するのがゴージャスなラウンジ「La Galerie」で、ピアノの生演奏が入り至高の時間が流れる。手前には英国流の重厚なメインバー「Le Bar」があり、いちばん奥にメインダイニング「Le Cinq」を配置している。「Ledoyen」で采配を振るった3ツ星スターシェフの クリスチャン・ル・スケールが2014年に就任して、高い評価を得ている。一方、カジュアル感覚の「Le George」が新設され、地中海料理が人気だ。スパ施設「The SPA」はパリで最も洗練されたスパとして評価が高く、宮殿風のスイミングプールやフィットネスジムも充実している。

ジョルジュサンクはシャンゼリゼ通りから一歩奥へ入った魅力的なロケーションで、客層が極めて良いことではパリ随一との定評がある。宿泊客一人当たりの従業員の数は一般の高級ホテルの3倍ともいわれ、リピーター客が多いのも納得で、真のホスピタリティを体感できる。日本人客には日本語の新聞や日本茶、そして浴衣まで用意される。「Le Cinq」では和朝食も可能という徹底ぶりがうれしい。