国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Fairmont Royal York
 
   ロイヤルヨークは1363室ものゲストルームを擁し、

  クラシカルなグランドロビーは重厚な空気が流れ、
  まるで当時の城内にタイプスリップしたような気分を味わえる。

 

 
「Fairmont Royal York」、まるで周囲をするような巨大なホテルである。28階建て高さ124mの外観はヨーロッパのシャトーを彷彿とさせる壮麗な造りで、かなり離れた場所からようやくホテル全景が見渡せる。開業当時から客室数は1000室以上と、実にイギリス連邦で最大級のホテルとして君臨していた。創業は1929年、開通したばかりのカナダ太平洋鉄道(CPR)の駅と直結する大型ホテルとして盛大にオープンした。トロントを代表する歴史的ホテルであり、この街のランドマークとして市民に親しまれている。ホテルの目の前には豪壮なユニオン駅があり、ここは人々が行き交うターミナルのような存在でもある。
 


 
前身はこの地に建っていた「The Queen's Hotel」で、1925年にCPRに売却された。ホテルは惜しまれつつ取り壊され、英連邦自治領カナダの威信を賭けた最新のホテルの建設が1927年に始まり、3年の歳月を掛けて落成した。巨大なロイヤルヨークにはもう一つ自慢がある。それは、ホテル屋上ガーデンで自家製ハーブを育てている事だ。そのガーデンにはハネムーン・スイートもある。実は、新婚カップル用のスイートではなく、ホテルの屋上にあるミツバチの巣箱につけられたニックネームが“ハネムーン・スイート”だ。ホテルのレストランやギフトに使われるハチミツはここで採取されたものである。


 
ロイヤルヨークは1363室ものゲストルームを擁し、クラシカルなグランドロビーは重厚な空気が流れ、まるで当時の城内にタイプスリップしたような気分を味わえる。筆者にアサインされた部屋は「Fairmont Gold Junior Suites」で、ユニオン駅を見下ろす約42㎡のJr.スイートだ。12階にある専用ラウンジ「Fairmont Gold Lounge」にアクセスでき利便性は高い。館内にはエレガントなメインダイニング「EPIC」をはじめ、メインバー「The Library Bar」や鉄板焼きの「ベニハナ」など9カ所のレストラン、バーがある。また、スパ、スイミングプール、フィットネス、ショッピングアーケード、バーバーショップ、ビジネスセンターなど、多種多様で充実した施設を用意している。


 
シャンデリアが輝く重厚なロビー、笑顔の中にも威厳を感じさせるコンシェルジュ、随所に置かれた趣のあるクラシックな調度品。ロイヤルヨークはどこを見渡しても伝統と格式が感じられる名門ホテルだ。カナダの国家元首であるエリザベス2世女王も多く利用し、ロビーには夫妻の写真と直筆のサインが展示されている。また、天皇皇后両陛下も2009年のカナダ訪問の際に宿泊なされている。


「Fairmont Royal York」の正面エントランス。創業当時からイギリス連邦で最大級のホテルとして君臨していた

12階にあるゴールド専用ラウンジ「Fairmont Gold Lounge」のレセプション

「Fairmont Gold Lounge」内のゆったりとしたラウンジ

シャンデリアが輝く重厚なロビー。随所に趣のあるクラシックな調度品などが置かれている

エレガントなメインダイニング「EPIC」。地元オンタリオ産の食材を使った料理が人気だ

新たに改装したスイミングプール

グランドロビーにはエリザベス2世女王夫妻の写真と直筆のサインが展示されている

ファイアプレイスが置かれたクラシカルなリビングルーム

リビングルームを玄関ホワイエから望む