ザ・シンギュラー サンチアゴ「The Singular Santiago」は、サンチアゴの旧市街と新市街の接点、お洒落なラスタリア地区にな邸宅といった雰囲気で佇んでいる。2014年に開業した新しいホテルだが、現代的な快適さとクラシカルなスタイルが融合し、館内エントランスホールや客室など古き良き時代を感じさせる空気が流れる。シンギュラー“Singular“という少々聞きなれない名称は、正にホテル名に反映されており、ゲストは「Singular=唯一無二の」体験ができるという理念を示し、独自の経営コンセプトを表現している。
サンチアゴはチリ共和国の中央にある首都で、アンデスの山々に囲まれた標高543mの盆地に位置し、人口600万人が住む南米有数の経済都市である。スペイン植民地時代の面影を色濃く残す旧市街と高層ビルが立ち並ぶ新市街に分かれており、南米一の高さを誇り64階建てのグラントーレ・サンティアゴ 「Gran Torre Santiago」 の超高層ビルも存在する。また、新規のホテル開業が続き、Ritz-Carlton、Wホテル、Mandarin-Orientalなどのラグジュアリーブランドが進出を果たしている。
ザ・シンギュラーはスイートを含む全62室のブティックホテルといった感覚のホテルだ。今回はデラックスタイプの「The Singular Twin」を紹介したい。一見、何の変哲もないツインルームに感じるが、よく観察するとライティングデスクとお揃いの収納家具、什器備品類、ノスタルジックな絵画など自然と興味が湧いて来る。また、ベランダから近隣公園の樹木が美しく望めるのも嬉しい。メインダイニング「Restaurant The Singular」はパリの高級ビストロを思わせるエレガントな雰囲気で、エグゼクティブシェフのHernán Bassoが腕を振るう、サンチアゴで屈指のレストランだ。エントランスホールはホテルのある通りの名を冠したバー「Bar Merced」と住所番号を冠したカフェ「Cafe 294」が一体となったラウンジで、和やかな雰囲気を醸し出している。スパ施設「The Singular Spa」は、サウナ、ジャグジー、ジム、4部屋のトリートメントルームなど高い水準を維持している。9階のトップフロアにはエクスクルーシブなバー&ラウンジ「Rooftop Bar」があり、季節営業のプールと広々としたテラスから街と近隣公園を一望する素晴らしい眺めも楽しめる。
ザ・シンギュラーはサンチアゴで唯一のLHW加盟ホテルで、極めてクオリティーの高いブティックホテルとしての独自性が際立つ。これらはGMのAndrea Valencia女史の細やかな経営方針も相まって、家族的な雰囲気のホスピタリティーがホテル全体で感じ取れる。また、チリ南部のパタゴニアには姉妹ホテルの「The Singular Patagonia」があり、ここも訪れてみたいプロパティの一つだ。