リッツカールトンは全世界でグローバルなブランド展開をしているが、驚くことに南米では1軒のプロパティしかない。その唯一のリッツカールトンがチリのサンチアゴにある「The Ritz-Carlton, Santiago」である(以下、RC/S)。開業は2003年で、新築の比較的新しいホテルだが館内は重厚感溢れるクラシカルな空気が流れる。一見、大阪のリッツカールトンと思わせる様なエレガントなデザインコンセプトで、まさか南米のチリでこの様な正統派のホテルに出会うとは予想していなかった。
RC/Sでの宿泊は是非クラブフロアの客室をお勧めしたい。アーバンコンテンポラリー感覚のラウンジは居心地がよく、フレンドリーなクラブスタッフの気配りが行き届き、ミールサービス、アルコールの提供など秀逸である。このホテルの見所の一つはトップフロアにあるルーフトップ・サンクチュアリプールであろう。ドーム状のガラスで覆われたスタイリッシュな形状で、早朝であれ夜間であれ、いずれの時間もサンチアゴの移り行く都市空間を眺めながらリラックスできる。
RC/Sはスイートを含め205 室のゲストルームを擁し、サンチアゴの新市街にあるビジネスディストリクトに立地している。ドアマンに案内され館内に入ると華麗なシャンデリアが煌めく重厚なオーバルのエントランスホールに目を奪われる。今回は50㎡の広さを持つ「Junior Suite」を紹介したい。シッティングエリアがゆったりと広く確保され、「Exclusive Club Lounge」へのアクセスが付いたJr.スイートである。メインダイニング「Estró Restaurant」は“New Chilean Cuisine”を標榜し、コンテンポラリースタイルの店内でモダン・チリ料理が楽しめる。メインバー「The Ritz-Carlton Bar」は英国ブリティッシュの香りが色濃く漂う雰囲気で、隣接して「The Lobby Lounge」があり、華やかなアフタヌーンティーで賑わう。スパ施設「The Ritz-Carlton Spa」には近未来的な形状のルーフトップ・サンクチュアリプールを用意している。付属のテラスからチリ市街のパノラマを楽しめ、ドーム上段にはトレーニングジムを併設している。
チリのサンチアゴは政情不安の多い南米にあって比較的治安は良い。なかでも新市街は区画整理がなされ、カフェやブティックが並ぶアート感覚の地域だ。RC/Sは落ち着いたブラウン・レンガの外壁に身を包み、この市街地に自然体で溶け込んで佇んでいる。