ザ・バルモラル「The Balmoral」はスコットランドの首都エジンバラに、100年以上の歴史と伝統を誇るランドマークとして君臨して来た。開業は1902年、エジンバラを拠点とするノースブリティッシュ鉄道が威信をかけたステーションホテルとして、「The North British Station Hotel」の名でオープンさせたのが始まりである。エジンバラの象徴とも言える大きな時計台が印象的なホテルで、中央駅であるウェーバリー駅に直結して利便性も極めて良い。エドワード朝様式のファサードを持つザ・バルモラルは1997年にロッコフォルテ卿のRFホテルズの傘下に入り、「Rocco Forte The Balmoral」として現在に至っている。
エジンバラは街の中心を東西に走る鉄道線路を境に、南に中世の名残をとどめる旧市街、北に18世紀に区画整備された新市街が広がっている。旧市街はスコットランドを代表するエジンバラ城が建ち、城から延びるメイン・ストリート「Royal Mile」周辺には多くの歴史的建物が点在し、中世そのままの街並みが残る。一方、新市街の新古典主義の建物が並ぶ景観は非常に美しく、後のヨーロッパの都市計画に多大の影響を与え、「計画都市の最高傑作」と評された。1995年にはエジンバラの新・旧市街を合わせて街全体が世界遺産に登録されている。
ザ・バルモラルは20室のスイートを含め全188室を擁し、威風堂々とした姿で佇んでいる。ホテル外観は重厚な歴史的建築様式を残しつつ、館内はスコットランド流のコンテンポラリーなデザインで調和している。今回はエジンバラのスコーン宮殿から名を冠したスイート「Scone & Crombie Suite」を紹介したい。約95㎡の広さを誇るホテルを代表するスイートで、窓から旧市街とエジンバラ城を望む気品ある部屋だ。ファインダイニング「Number One」はホテルが立地する“プリンセス・ストリート1番地”に由来し、ミシュラン星を持つエジンバラ屈指のレストランだ。その他、伝統的スコットランド料理の「Hadrian’s」、アフタヌーンティーが好評の「Palm Court」、メインバー「Scotch」等どれも評価が高い。スパ施設「The Balmoral Spa」は世界的に展開する英国生まれのESPAが担当している。

ザ・バルモラルは新市街の一等地に建ち、象徴たる時計台は創業以来、市民が列車に乗り遅れないように時計の針は3分速く設定されている。時計台が時間通りに実行される唯一の日は大晦日の12月31日と言われる。正面エントランスにはタータンチェックの伝統衣装“Kilt”を着用したドアマンが立ち、歴史と伝統を受け継ぐ姿勢が快く感じられる。