国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

The Majestic Kuala Lumpur

 

コロニアル風の伝統あるホテルはランドマークとして君臨し、
歴史に残る政治的会議や各国要人を迎える迎賓館として使われてきた。

 
1932年に建てられたクアラルンプールの名門ホテル、ホテル マジェスティックが80年の時を経て「The Majestic Kuala Lumpur」として復活し再オープンした。コロニアル風の伝統あるホテルはクアラルンプールのランドマークとして君臨し、歴史に残る政治的会議や各国要人を迎える迎賓館として使われてきた。第2次大戦中は日本軍の司令部として接収され、戦後は建て替えのため取り壊しの危機などに直面したが、83年にマレーシア政府がホテルを強制収容し、遺跡保存法のもと国家遺産として登録し保存の道を開いた。同年末にホテルはその華麗な歴史を閉じたが、翌84年から98年の間、建物は国立美術館として第2の道を歩んで来た。
 

 
2012年、伝説のホテルはマレーシアのYTLホテルズによって蘇り、同年12月に再びホテルのドアが開かれた。YTLホテルズを傘下に持つYTLコーポレーションはマレーシア最大級のコングロマリットで、創業者のDr. Yeoh Tiong Lay(楊忠禮)の頭文字を取って名付けられた。東南アジア企業として初の東証上場を果たした大財閥で、マレーシアではいたる所でYTLの広告看板が目に付く。また、グループ傘下のYTLホテルズはクアラルンプールのリッツカールトンやJWマリオットを保有するほか、多くの高級ホテルを運営している。
 


 
ザ・マジェスティックは創業当時の5階建てのマジェスティック・ウィングが完全に修復され、さらに隣接して15階建てのタワー・ウィングも新設された。マジェスティック・ウィングは国の文化遺産として登録された世界でも珍しいヘリテージホテルで、47室のすべてがスイートタイプとなっている。このクラシカルなウィングには優雅なメインダイニング「The Colonial Café」、生演奏が入る「The Bar」、そしてアフタヌーンティーが人気の「The Tea Lounge」が有機的に結合し機能している。タワー・ウィングにはオールデイダイニングの「Contango」があり、和食はもちろんエスニック料理を含めて世界各地の料理が楽しめる。そのほか「The Majestic Spa」にはフィットネスや屋外スイミングプールを併設している。
 


 
ザ・マジェスティックはムーア様式の華麗な外観を持つ旧クアラルンプール駅の向かいに立地し、隣のマレー鉄道事務局の荘厳な建物や国立モスクなどの歴史的建造物と見事な調和を保っている。静かな歴史地区にある伝統のコロニアルホテルに滞在し、卓越したホスピタリティーに癒しと安寧を得るのも大いに価値があると思う。


「The Colonial Café」のフレンドリーなスタッフたち

ライブのバンド演奏が楽しい「The Colonial Café」 

メインダイニング「The Colonial Café」の気品ある店内

コロニアルの雰囲気が漂うマジェスティック・ウィングのエントランス

「The Smoke House」と呼ばれる別棟に向かう回廊。シガールームやカードルーム等を備えた大人の憩いの場だ

マジェスティック・ウィングにある「The Governor Suite」のゴージャスなベッドルーム。
約55㎡の広さを誇り、窓からは壮麗な外観を持つ旧クアラルンプール駅を望むコロニアル棟を代表するスイートルームである

エレガントな雰囲気が漂うスイート「The Governor Suite」のリビングルーム

アールデコ調のバスルーム。猫足の付いたクラシカルなバスタブが印象的だ

スパ棟の前に設けられた屋外プール。正面に見えるのがムーア様式の旧クアラルンプール駅 

アフタヌーンティーが人気の「The Orchid Conservatory」