国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Alvear Palace Hotel, Buenos Aires

 

  絢爛豪華な装飾が施され、高い天井から下がるシャンデリアが
      磨きこまれた大理石のフロアと贅を凝らしたペルシャ絨毯を照らしている。

 
ブエノスアイレスのレコレータ地区は上流階級の人々が集う気品ある高級住宅街である。この一角に壮麗なベルエポック様式のアルヴェア パレス ホテル「Alvear Palace Hotel」が佇んでいる。ヨーロッパからの富裕層が滞在する高級ホテルとして1932年に開業したアルゼンチン屈指の格式を誇るホテルだ。周辺には、この街でも指折りのレストランやショップが並び、商業地区の雑踏とは無縁の空気が流れる。ホテル正面ファサードを飾る年代物の美しい縞模様の石壁はすべてパリから運び込まれたもので、南米のパリと称されるブエノスアイレスの香りが漂う。館内は絢爛豪華な装飾が施され、高い天井から下がるシャンデリアが磨きこまれた大理石のフロアと贅を凝らしたペルシャ絨毯を照らしている。


 
 アルヴェア パレスは、ブエノスアイレスの実業家で社交界の実力者であったラファエル・デ・ミエロ氏が1920年代初頭にパリを訪れた際、収集したベルエポック様式の青写真を基に建築された。幾多の歴史の変遷を経て、ホテルはアルゼンチンの社会・文化・政治的背景の中で常に中心的役割を果たしてきた。世界各国の王族、元首、著名人の訪問も多く、日本の天皇皇后両陛下もお泊りになっている。また、2003年にはブエノスアイレス市によって建築歴史的遺産として認定された 。


 
 アルヴェア パレスはスイートを含む全191室を擁すLHW加盟の歴史的グランドホテルだ。ゴージャスなグランドロビーに隣接してメインバー「Lobby Bar」があり、1932年の創業以来、地元のセレブリティーたちが集うソサエティの役割を担ってきた。今回はルイ15世様式のスイート「Deluxe Suite」をご紹介したい。約60㎡の広さを持つクラシカルな部屋で、古き良き時代の空気感が漂う。メインダイニング「L'Orangerie」は格調高い本格派で、ブレックファストルームの「Jardin D’Hiver」と共に優雅な時間が流れる。Matias Zabalza氏が統括するランチビュッフェは寿司も含めて多くのメニューが揃い地元の評価が高い。スパ施設「Spa & Fitness Center」には“Pool & Solariums”も用意されている。


 
 アルヴェア パレスの立地するレコレータ地区はアルゼンチン人とって憧れの土地で、すぐ近くにあるレコレータ墓地に永眠することは大変な栄誉とされる。墓地とは思えない広大な緑地はブエノスアイレス最古かつ最も由緒あるもので、ここに眠る“エビータ”の愛称で有名なペロン元大統領夫人には多くの献花が絶えない。なお、アルヴェア パレスは2軒の姉妹ホテル「Alvear Art Hotel」と「Alvear Icon Hotel & Residences」を開業させている。


ホテル正面ファサードを飾る年代物の美しい縞模様の石壁はすべてパリから運び込まれたもので、南米のパリと称されるブエノスアイレスの香りが漂う

磨き上げられた大理石の床と柱が歴史を感じさせるエントランスホール

メインダイニング「L'Orangerie」に通じる中央回廊

メインダイニング「L'Orangerie」と左手にあるレセプションデスク

壮麗なルイ15世様式のボールルーム「The Régence ballroom」

優雅な時間が流れるメインダイニング「L'Orangerie」のガーデン側テーブル席

「L'Orangerie」に隣接したブレックファストルーム「Jardin D’Hiver」でビュフェスタイルの朝食が用意される

Matias Zabalza氏が統括するランチビュッフェは寿司も含めて多くのメニューが揃い地元の評価が高い

スパ「Spa & Fitness Center」の笑顔のレセプションスタッフ。スパ施設内には“Pool & Solariums”も用意されている

落ち着いた雰囲気のベッドルーム。スイートを含む全191室を擁すLHW加盟の歴史的グランドホテルと言える

ベッドサイドからリビングルームを望む。ホテル建物は2003年にブエノスアイレス市によって建築歴史的遺産として認定されている

GMからのウェルカムアメニティー

エレガントな雰囲気が香るバスルーム