テムズ川上流、麗しき田園風景が広がるバークシャーの地に威風堂々とした大邸宅のホテルが建っている。ホテルの名は「Cliveden」。イギリス王室ゆかりの名門ホテルである。ホテルの歴史は第二代バッキンガム公爵が1666年に建てた宮殿に遡る。以後、代々の君主たちがここに居を構え、イギリス王室の別邸とも呼ばれる歴史的な館であった。やがて時は移り、1906年に世界屈指の資産家であったアメリカのアスター家に所有権は移る。ナンシー・アスターのサロンの場となったクリヴデンは栄華を極め、英国ロイヤルファミリーや英国首相チャーチルなど多数が招待されている。ちなみに、彼女は“Lady Astor”と呼ばれた社交界の華で、「St. Regis」を創設したJ・ジェイコブ四世の母親であり、「Waldorf Astoria」に連なる家系である。
現在の建物は、過去二度による焼失の後、1851年にサザーランド公爵の邸宅として建てられたもので、建築にはウェストミンスター宮殿(現英国国会議事堂)の建築家であるチャールズ・バリーが携わっている。1942年、アスター家はクリヴデンを英国ナショナルトラストに寄贈する。以後、376エーカーに及ぶ広大な土地はトラストに管理され美しい庭園が見事に保持されている。85年からは最高級マナーホテルとして運営され、現在はRelais & Chateaux加盟のフラッグシップホテルとなっている。
ベルキャプテンに案内され、館内に足を一歩踏み入れると歴史の重さが伝わる「Great Hall」に目を奪われる。筆者にアサインされた部屋は、首相にもなったGeorge Canning にちなんだデラックス・スイートの「Canning」。ファイアーピースや天蓋付きのベッドなどエレガントな部屋だ。各部屋は客室番号の代わりに各界の著名人の名が記され39室ある。ミシュラン・スターシェフのAndre Garrett 氏が率いる「Andre Garrett at Cliveden」は館の中心にあり、広大なガーデンを望む気品あるメインダイニングだ。レストランに隣接して「The Library」、「The French Dining Room」、「The Boudoir and Tote Room」など麗しきサロンを用意してゲストの要望に応えている。専用スパ「The Pavilion Spa」は別棟にあり、屋外・屋内の二つのプールで楽しめる。
沢に取り入れた夢の空間を演出している。
テムズ川上流、麗しき田園風景が広がるバークシャーの地に威風堂々とした大邸宅のホテル「Cliveden」が建っている。イギリス王室ゆかりの名門ホテルである
テムズ川上流、麗しき田園風景が広がるバークシャーの地に威風堂々とした大邸宅のホテル「Cliveden」が建っている。イギリス王室ゆかりの名門ホテルである
ホテルの歴史は第二代バッキンガム公爵が1666年に建てた宮殿に遡る。代々の君主たちがここに居を構え、イギリス王室の別邸とも呼ばれる歴史的な館であった
連綿と受け継がれた伝統を感じさせる豪壮なロビーラウンジ「Great Hall」。17世紀のアンティークに彩られた歴史的にも貴重な空間だ
インダイニングに隣接して用意されたライブラリー「The Library」。ここで、ゆったりとした時の流れに身を任すのも一興だ