国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Belmond Hotel Manasterio

 

神学校の音楽が響き渡る荘厳な雰囲気の館内は、
年代物の貴重な調度品もさり気なく飾られ、まるで歴史博物館に迷い込んだ空気感が漂う。

 
 ベルモンド ホテル モナステリオ「Belmond Hotel Manasterio」はベルモンドのペルー開発に於ける拠点であり、クスコを代表する迎賓館的ホテルである。元々は1592年に建てられた修道院を改造したホテルで、国定史跡の1つに指定されている。ホテル館内は神学校の音楽が響き渡る荘厳な雰囲気で、年代物の貴重な調度品もさり気なく飾られ、まるで歴史博物館に迷い込んだ空気感が漂う。旧修道院時代の趣ある回廊に囲まれた中庭はガーデンスタッフの手で美しく手入れされ、中央に茂る大木は樹齢330年を超えるクスコ最古のもので、モナステリオのシンボルとなっている。


 
 2014年に旧オリエント・エクスプレス・ホテルズから社名変更したベルモンド「Belmond Ltd」は、南米ペルーでラグジュアリーな旅の革命を起こしてきた。1999年にモナステリオの経営権を取得して2003年に開業。続いて隣接する姉妹ホテルのパラシオ・ナザレナス「Belmond Palacio Nazarenas」を2012年にオープンさせた。クスコは3400mの標高があり、観光客の少なからずは高山病に罹ってしまう。モナステリオは客室の多くに酸素供給部屋を完備し、万一に備え酸素ボンベも用意している。


 
 モナステリオはインカ時代の石造りの壁でできた回廊で囲まれ、悠久の歴史のもたらす威厳とラグジュアリーが美しく融合されたホテルで、館内は有数のアートコレクションが収蔵されている。今回は約65㎡の広さを持つ「One Bedroom Suite with Oxygen」をご紹介したい。酸素供給システムが完備し、専用の中庭テラスが付いたラグジュアリースイートである。レストランは充実しており、中庭に面して明るい陽の光が入り石造りの長い回廊を利用したレストラン「Illariy」では、朝食や伝統的なペルー料理のランチが楽しめる。アーチ型の天井が特徴でクラシカルなメインダイニング「El Tupay」はディナー専用で、週に数回クスコでも指折りのオペラ演奏が行なわれる。また、ホテル内には1595年当時から残る黄金で装飾された壮麗な礼拝堂を併設し、富裕層の結婚式に人気がある。また、クスコで唯一写真撮影が出来る教会としても有名である。


 
 ベルモンドは世界遺産マチュピチュ遺跡に隣接する唯一のホテル、サンクチュアリロッジ「Belmond Sanctuary Lodge」も2001年に取得した。さらにクスコとマチュピチュ間にはオリエント・エクスプレスの実績を注いだ豪華列車「HIRAM BINGHAM」号を運行させている。モナステリオは、ハイエンドなクスコ・マチュピチュ観光の要としての役割を担う真のラグジュアリーホテルと言えよう。




 
 

「Belmond Hotel Manasterio」の外観。元々は1592年に建てられた修道院を改造したホテルで、国定史跡の1つに指定されている

年代物のがっしりとしたドアに守られたホテル正面エントランス

インカ時代を彷彿させるアーチが美しいレセプションデスク

旧修道院時代の趣ある回廊から望む中庭は、ガーデンスタッフの手で美しく手入れされている

中庭中央に茂る大木は樹齢330年を超えるクスコ最古のもので、モナステリオのシンボルとなっている

アーチ型の天井が特徴で落ち着いた雰囲気のメインバー「Lobby Bar」

クラシカルで気品あるメインダイニング「El Tupay」。ディナー専用のレストランで、週に数回クスコでも指折りのオペラ演奏が行なわれる

レストラン「Illariy」の給仕長

美しいガーデンを見ながらのブレックファスト風景

ホテル館内は神学校の音楽が響き渡る荘厳な雰囲気で、年代物の貴重な調度品もさり気なく飾られ、まるで歴史博物館に迷い込んだ空気感が漂う

時代を感じさせる石積みの壁面がインカの空気感を演出している

バスタブが付いたゴージャスなバスルーム。3400mの標高があるクスコでは、入浴は高山病のリスクもあるので一般客室はシャワールームだけである

テラスと一体となり、明るい陽光が差し込むリビングルーム

プライバシーが保たれたスイート専用の中庭テラス