国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

 Palacio Tangará São Paulo, Oetker Collection

 

パラシオ タンガラは国際都市に相応しいホテルとして誕生し、
そのデザイン性にもこだわりを感じる。

 
 サンパウロの都心、緑豊かなBurle Marx Parkに2017年5月、白亜の大邸宅を彷彿させるラグジュアリーなホテルが姿を現わした。その名はパラシオ タンガラ「Palácio Tangará」。世界でプレステージホテルを展開するOetker Collectionにとって9軒目のホテルとなり、南米では初のお披露目となる。シンメトリーに設計された外観は、深い森に浮かび上がる白亜の城と言うべき気品ある佇まいで、とてもサンパウロの中心部とは思えないほど閑静なロケーションを誇る。


 
 サンパウロは南米屈指の巨大経済都市だが、海外の賓客を迎える質の高い大型ホテルが不足していた。パラシオ タンガラは国際都市に相応しいホテルとして誕生し、そのデザイン性にもこだわりを感じる。ホテルの内装は、ネオ・クラシカルスタイルを駆使するビッキ・シモナートと、ブラジルの著名建築家でサンパウロの有力ショップデザインを手掛けるパトリシア・アナスタシアディスという、ブラジルを代表するインテリアデザイナーが担当した。ブラジルが持つ自然の美しさを表現できるよう花崗岩や天然木材といった素材を髄所に取り入れ、かつ内装にはアマゾンに関連するアート作品も見受けられる。


 
 パラシオ タンガラは59室のスイートを含む、全141室のすべての部屋からは緑豊かなガーデンの景観を眺められる。今回は約60㎡の広さを持つ「Deluxe Junior Suite Terrace」をご紹介したい。広大なテラスを備えたコーナースイートで、樹林帯の向こうにサンパウロの高層ビル群を望める。特筆すべきはファインダイニング「Restaurant Tangará Jean-Georges」だ。ニューヨークや東京をはじめ世界中で活躍するジャン・ジョルジュを招聘し、彼の監修の元、エグゼクティブシェフ、フェリペ・ロドリゲスの創作料理はフレンチをベースに日系料理を加味したもので、その独創性にはミシュランの1ツ星を獲得したのもうなずける。スパ施設「Flora Spa by Sisley」は有名コスメブランドSisleyの協力を得て、6室のトリートメントルーム、ジム・フィットネス、室内スイミングなどサンパウロ随一の品格で、地元のセレブリティーから高い評価を得ている。


 
 パラシオ タンガラは、南米で初となる“最高傑作のホテル・Masterpiece Hotels“を標榜して、オトカーコレクションに名を連ねた。ホテル名にある「タンガラ」は、ブラジルに生息する色鮮やかな鳥「ナナイロフウキンチョウ(風琴鳥)」に由来し、ロゴマークにも使用している。また、LHWの加盟ホテルとして南米屈指の “パレスホテル” を目指す存在意義は大きい。


「Palácio Tangará」の案内板とガードマンが立つホテル正面ゲート。ホテル名にある「タンガラ」は、ブラジルに生息する色鮮やかな鳥「風琴鳥」に由来し、ロゴマークにも使用している

白亜のパレスと言うべき気品ある佇まいの正面エントランス車寄せ

スタイリッシュなレセプションデスク

エレベーターホールにあるテラスから俯瞰したコートヤードとオープンエアのスイミングプール

アフタヌーンティーが人気のロビーラウンジ「Parque Lounge & Terrace」

ミシュランの星を掲げるファインダイニング「Restaurant Tangará Jean-Georges」
のエントランス

テーブルセッティングも美しい壮麗な店内

エグゼクティブシェフのフェリペ・ロドリゲス氏と筆者。彼の創作料理はフレンチをベースに日系料理を加味したもので、その独創性には地元でも定評がある

美しいガーデンを望む「Restaurant Tangará Jean-Georges」のプライベートダイニング

約60㎡の広さを持つ「Deluxe Junior Suite Terrace」。パラシオ タンガラは全141室のすべての部屋からは緑豊かなガーデンの景観を眺めることができる

広大なテラスを備えたコーナースイートで、樹林帯の向こうにサンパウロの高層ビル群が望める

スパ施設「Flora Spa by Sisley」のレセプションデスク。有名コスメブランドSisleyの協力を得て、6室のトリートメントルームを持つ

ゴージャス感溢れる室内スイミングプール。トリートメント、ジム・フィットネスなどサンパウロ随一の品格で高い評価を得ている