国際ホテルジャーナリスト　小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

 
ロイヤル マンスール マラケシュ「Royal Mansour Marrakech」はモロッコ王室が2010年にオープンしたモロッコ随一のリュクスなホテルだ。旧市街”メディナ”を再現した敷地にある53室の部屋はすべて”リヤド”、つまり一戸建ての贅沢なスタイルになっている。ここはホテルの概念を超えた別格の存在で、まるで王族の一員になったような非日常を満喫できる。一番小さなリヤドでも、１階が玄関とリビング、２階が寝室とバスルーム、３階が屋上テラスとなった邸宅スタイルだ。オープンエアのテラスでは青空の下、マラケシュ市街を望みながら付帯したプールで楽しむことが出来る。

 
ロイヤル マンスールはマラケシュ旧市街を囲む塀の内側３ヘクタールもの土地に建ち、敷地内に一歩足を踏み入れると、そこはモロッコの多彩な伝統工芸の粋が集結したひとつの街のようだ。ロビーエリア中央には小さな噴水と水路があり、アルハンブラ宮殿を模したマラケシュのオアシスの空気が流れる。床や柱を埋め尽くす幾何学模様“アラベスク“のタイル貼りはモロッコの伝統職人技がふんだんに使われている。レセプションルームも絢爛豪華の空間で、スタッフはモロッコの各地方の民族衣装をモダンにアレンジした制服に身を包み、異国情緒たっぷりである。

 
今回は175㎡の広さを持つリヤド「Premier one Bedroom Riad」を紹介したい。アラビアンナイトを彷彿させる一戸建てのスイートで、キッチンが備わり、リビングの大型デスクにはゲストの名を印字したステーショナリー類も用意される。レストランはミシュラン星のレジェンド、パリ「Ledoyen」のオーナーシェフYannick Alleno氏が統括して、料理のクオリティはすこぶる秀逸だ。インターナショナル料理の「La Table」をはじめ、極上のディナーにはモロカン クイジーヌ「La Grande Table Marocaine」と本格的フレンチ「La Grande Table Française」があり、ヤニック・アレノの洗練された料理の数々を堪能できる。スパ施設「Royal Mansour Spa」のエントランスは真っ白なアラベスク模様の透かし彫りの漆喰を贅沢に取り入れた夢の空間を演出している。

 
ロイヤル マンスールはゲストに空港VIPサービスを提供しており、提携の係員がマラケシュ空港での諸手続きをサポートしてくれる。さらにベントレーのリムジンが待機してスムースにホテルまで送迎。ホテル正面エントランス車寄せにはスタッフが整列してゲストを迎える。まさに千夜一夜の世界を体験できるモロッコ王室のホテルだ。