国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Ritz-Carlton,Philadelphia

 

古代ローマのパンテオンを模した円形のドームを持ち、
大理石の巨大な円柱が圧倒的存在感のオーラを発している。

 
フィラデルフィアの市内中心部、市庁舎のすぐ向かい側にギリシャ神殿風の豪壮な円柱が並ぶホテルが建っている。この威風堂々とした建物こそが、ザ・リッツ・カールトン フィラデルフィアである。もともとは築100年以上を誇るジラード信託銀行「Girard Trust Bank」の建物と、隣接して建つ30階建てのオフィス棟「Girard Trust Building」がホテルとして改築されたものだ。1908年に竣工した建物は、高さ42m、古代ローマのパンテオンを模した円形のドームを持ち、大理石の巨大な円柱が圧倒的存在感のオーラを発している。この独特な形状の建物は2500万ドルを投じて徹底的に改修され、2000年に「The Ritz-Carlton, Philadelphia」(以下、RC/Ph)としてオープンした。


 
ペンシルベニア州フィラデルフィアは、歴史的な古都の街並みが残る東海岸の大都会だ。語源は、ウィリアム・ペンがこの地を古代ギリシァ語で“兄弟愛の街”を意味する「フィラデルフィア」と名付けたことに始まる。また、1790年から1800年までの10年間、この街はアメリカ合衆国の首都でもあった。トーマス・ジェファーソン、ベンジャミン・フランクリンが起草した「独立宣言」が議事堂(現独立記念館、ユネスコの世界遺産)で署名され、その議事堂の時計台にかかっていた鐘は “自由の鐘”「Liberty Bell」としてアメリカの自由の象徴となり、南北戦争における奴隷制度廃止のシンボルとなっていった。


 
RC/Phはスイートを含む全301の客室を擁し、隣接して高級レジデンス「The Ritz-Carlton Residence」を傘下に持つ。今回は約85㎡の広さがある「Luxury Suite」を紹介したい。コンテンポラリー感覚のモダンな部屋で、窓からは市庁舎の尖塔が望める。最上階30階にある重厚なクラブラウンジにアクセスできるスイートで利用価値は大きい。メインダイニング「Aqimero」はビストロスタイルのオープンキッチンが人気である。グランドホールに位置し、ドーム下のスタイリッシュなバーカウンターとの利用がスマートだ。スパ施設「Richel D’Ambra Spa & Salon」はメンズグルーミングやビューティーサロンも充実している。


 
C/Phはダウンタウンの中心に位置し、観光にも便利な立地を誇る。道路を隔てて隣接する市庁舎やLiberty Bellのある独立記念館も徒歩圏内だ。映画「ロッキー」でスタローンが駆け上がったフィラデルフィア美術館正面の大階段とロッキー像も見逃せない。RC/Phはホテルとしての歴史は浅いが、堂々とした貫録あるグランドホールと豪壮なファサードを持つ建物は、大いなる歴史的価値を持つホテルと言える。


ザ・リッツ・カールトン フィラデルフィアの右手、道路を1本隔てた隣にフィラデルフィアの市庁舎が立つ

1908年に竣工した建物は、高さ42m、古代ローマのパンテオンを模した円形のドームを持ち、大理石の巨大な円柱が圧倒的存在感のオーラを発している

いかにもアメリカといった気さくなスタイルのベルキャプテン

2階回廊から俯瞰したグランドホール。写真正面奥にメインダイニング「Aqimero」が見える

古代ローマのパンテオンを模した円形のドームを、何本もの巨大な大理石の円柱が支える

グランドホールの奥に位置するレセプションデスク

30階建てのオフィス棟「Girard Trust Building」を改築した客室棟からグランドホールを望む

「CLUB LOUNGE」の表示が誇らしい

クラシカルな丸時計がクラブラウンジの歴史を感じさせる

メインダイニング「Aqimero」はビストロスタイルのオープンキッチンが人気だ

ドーム下のグランドホールに位置するスタイリッシュなバーカウンター

「Luxury Suite」のベッドルーム

「Luxury Suite」のリビングルーム。コンテンポラリー感覚のモダンな部屋で、窓からは市庁舎の尖塔が望める

スパ施設「Richel D’Ambra Spa & Salon」のレセプションデスク

メンズグルーミングやビューティーサロンも充実している