国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Amanjiwo

 

アマンジオ滞在客にだけに許される、開園前の
ボロブドゥール遺跡から見る日の出は実に神秘的だ。

 
インドネシアのジャワ島にある「ボロブドゥール寺院」。世界最古の仏教遺跡を見つめるために、うっそうと生い茂る密林に寺院建築様式を取り入れたホテルがこつぜんと姿を現す。ホテルの名はアマンジオ「Amanjiwo」。“穏やかなる魂”という意味のアマンジオは荘厳な円形のドームを頂点として、熱帯の森が茂る斜面に扇状にヴィラが点在している。ホテル自体がまるで遺跡のように周囲の森と一体化した造りである。
 

 
古都ジョグジャカルタから車で約1時間。世界遺産・ボロブドゥール遺跡のわずか数キロ先にアマンジオは静寂の中に佇んでいる。ボロブドゥールは世界最大にして最古の仏教遺跡であり、「ボロブドゥール寺院遺跡群」の一部としてユネスコの世界遺産に登録されている。遺跡と対峙するように建てられたアマンジオは、その一部でもあるかのような寺院建築スタイルが神々しいほど幻想的である。深い山並みと森、そして土地の人々の信仰と瞑想がもたらす聖なる空気が、千年の時空を超えた彼の地へとゲストをいざなう。
 


 
アマンジオは1997年、アマンリゾートのデザイン・ディレクターであるエド・タートル氏が全面的にインテリア等を担当して完成した。客室はすべて各棟が独立したスイートタイプのヴィラで、別棟の「The Dalem Jiwo Suite」を含めて36のスイートヴィラで構成されている。重厚な石造りのドームのエントランスを抜けると、ストゥーパ(仏塔)をモチーフにしたエントランス・ロビーだ。この先にオープンエアの「The Restaurant」があり、ここから正面にボロブドゥール遺跡が望める心憎いレイアウトである。筆者にアサインされた部屋は「Borobudur Pool Suite」で、専用のテラスにはプライベートプールとガゼボが付帯する。また、バスルームは庭に用意した露天風呂方式だ。「Spa Suite」は同じスイートヴィラの一室を利用したぜいたくなパーソナルタッチが好評である。そのほか、ゆったりくつろげる「The Library」や地元の歴史・文化を紹介した「The Art Room」など、さまざまな施設をゲストに提供している。
 


 
“穏やかなる魂”の名のとおり、訪れるゲストを癒やし続けているアマンジオ。ボロブドゥール寺院自体もいまだ多くの謎に包まれる。仏教の宇宙観を表すとされる寺院の建築哲学を取り入れ、自然界と不思議な調和を醸し出している。アマンジオ滞在客にだけに許される、開園前のボロブドゥール遺跡から見る日の出は実に神秘的だ。


「Amanjiwo」の重厚な石造りの正面エントランス。にこやかにスタッフから歓迎の挨拶をうける

「Spa Suite」は同じスイートヴィラの一室にあり、贅沢なパーソナルタッチが好評だ

専用のテラスにはプライベートプールとガゼボが付帯する

ボロブドゥールの寺院建築様式と同化した「Borobudur Pool Suite」のベッドルーム。ジャワ産のライムストーンを使用し、
4本の柱が天井のドームを支える重厚な空間デザインである

Amanjiwo」は鬱蒼と生い茂る密林に寺院建築様式を取り入れたホテルだ

ホテル自体がまるで遺跡のように周囲の森と一体化した造りである

「The Dalem Jiwo Suite」のゲスト専用プール

ボロブドゥール遺跡に向かって延びるようなインフィニティプール

朝靄に煙る静寂のメイン・プール。早朝には、ゲスト向けヨガスクールも開催される

セキュリティーの検問を抜けると辺りは明るくなり、ホテルに通じる美しいエントランスアプローチを進む

世界遺産「ボロブドゥール寺院遺跡」から見る日の出は神々しいほど幻想的である。ボロブドゥールは世界最大にして最古の仏教遺跡であり、「ボロブドゥール寺院遺跡群」の一部として世界遺産に登録されている