ブエノスアイレスの上流階級が集う閑静な住宅街 “レコレータ地区” に、ギリシャ神殿を彷彿させる太い門柱が並ぶ威風堂々とした外観のホテルが建っている。“パラシオドゥオ” と呼ばれるパレスホテル「Palacio Duhau - Park Hyatt Buenos Aires」である。現在はHyatt Hotels and Resortsのオペレーションを得て2006年に開業した。アルゼンチンの名門貴族であったドゥオ家の壮麗な邸宅をホテルに改装したもので、そのオープンは単なる大型高級チェーンホテルという以上に地元ホテル業界に大きな注目が集まった。1930年代に建てられたブエノスアイレス黄金時代の残り香が漂う白亜の本館と、アーバンコンテンポラリーのタワー新館を組み合わせた佇まいは、数ブロック先にある老舗ホテルのアルヴェア パレス(本誌Vol. 199参照)と良き対象を成している。
パラシオ ドゥオはアルゼンチンのみならず、北米を除いた中南米の中で最も貴族的雰囲気を感じさせるホテルだ。パークハイアットのカテゴリーでもほかの追随を許さない最高の水準を行くプロパティーと言える。事実、米旅行雑誌「Travel + Leisure」が毎年発表するビジネスホテルランキングの2009年度版で、堂々の世界最高ランク1位を獲得している。
パラシオ ドゥオは緑美しい庭園を囲む19世紀の歴史的建造物をそのままに、隣接する近代的なタワー新館とは地下で通じるギャラリーの回廊、そして地上からはガーデンテラスで結ばれている。ホテルは39室のスィートを含む全165室のゲストルームを擁するが、今回はタワー棟にある「One King Bed with Balcony Deluxe」をご紹介したい。約45㎡の広さを持つスタイリッシュな部屋で、ベッドルームと一体感のあるバルコニーが印象的だ。メインダイニング「Duhau Restaurante & Vinoteca」は本館側にあり、洗練されたアルゼンチン料理とワインを楽しめる。タワー棟にはオールデイダイニング「Gioia Restaurante & Terraces」があり、テラス席でのイタリアンが人気だ。スパ施設「Ahin Wellness & Spa」は、ゴージャスなトリートメントルームと25mのスイミングプールを備えている。
滞在した当日は夕刻より某カード会社の上級顧客を対象としたガーデンパーティーが開催され、これに招待された。多数のアルゼンチンワインの飲み比べ、出店したフードコーナーでは地元の食材を多用した料理など堪能し、地元セレブたちとの交流を深めた。パラシオ ドゥオは、華やかなクラシカルな雰囲気とパークハイアットらしいラグジュアリー感が見事に調和したホテルと言えよう。