国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

The Ritz-Carlton N.Y. , Central Park

 

マンハッタンの中心にありながらセントラルパークの森林が目の前に望み、
まるで隠れ家のような大人のホテルだ。

 
ニューヨークの「The Ritz-Carlton New York, Central Park」(以下、リッツ・カールトン/CP)は世界のリッツ・カールトンの中でもフラッグシップに位置付けられている。マンハッタンの中心にありながらセントラルパークの森林が目の前に望み、まるで隠れ家のような大人のホテルだ。セントラルパークの南側に構える威風堂々とした建物だが、エントランスは控えめで派手さを抑え、落ち着いた雰囲気の瀟洒な邸宅といった感じである。歴史、伝統、格式、質感、ホスピタリティー等々、すべてニューヨークで最高峰のホテルの一つと言える。


 
リッツ・カールトン/CPは、以前同地にあったサン・モリッツホテル「St. Moritz Hotel」を1999年に買収し2002年から営業を始めたものだ。そのサン・モリッツホテルはグランドホテル時代の1930年、ユダヤ系米国人の著名な建築家、Emery Roth によって建設された歴史的ホテルである。もともとはエンパイアーステートビルのオーナーである不動産王ヘルムズレーが所有するホテルであったが、1980年台に同じく不動産王ドナルド・トランプに売却。トランプはホテルを改装して高級分譲レジデンスとして販売する予定だったが、1999年にリッツ・カールトンに再売却した。リッツ・カールトンは開業するにあたり、サン・モリッツを2年半もの歳月をかけ全面改装している。


 
リッツカールトン/CPは33階建ての建物で、スイート 48 室を含む全261 室のゲストルームを擁している。館内は重厚なラウンジ「The Star Lounge」を中心に、レセプションやロビー空間を小さくしてにぎやかさよりも格調を大切にしている。今回は「Deluxe Park View Suite」を紹介したい。セントラルパークを眼下に望み、クラブラウンジのアクセスが付いたスイートだ。クラブラウンジはファミリーライクな心地よさが伝わり、調度品も派手さはないが年代物の重厚さが感じられる。ダイニングは「Auden Bistro & Bar」が気軽な感じで楽しめ、終始にぎわいを見せている。スパ施設「La Prairie Spa」はスイス製ブランドのトリートメントメニューを揃えている。


 
リッツ・カールトン/CPが立地するセントラルパーク・サウス周辺はニューヨークでも最高の立地条件を誇り、東西の角には、それぞれ「The Plaza」、「Mandarin Oriental」の一流ホテルが構え、そのほか高級レジデンス、レストランが並んでいる。ホテル前にある横断歩道を渡ると、そこはもう静寂の世界が広がるセントラルパークで、朝夕の森林浴の散歩に最適の住環境と言える。


セントラルパークから望むリッツ・カールトン/CP。ホテル前にある横断歩道を渡ると、そこはもう静寂の世界が広がるセントラルパークで、朝夕の散歩に最適の住環境と言える

エントランスは控えめで派手さを抑え、落ち着いた雰囲気の瀟洒な邸宅といった感じである

凛とした空気が漂い、格式の高さが伝わって来るレセプションデスク

正面エントランスに立つドアマンとベルキャプテン

館内に中心に位置し、ホテルの顔とも言える落ち着いたラウンジ「The Star Lounge」

コンシェルジュデスクにはキャリアを積んだスタッフが詰める

優雅な雰囲気のエレベーターホール

クラブラウンジのエントランスホール。レセプションデスクの向こうにラウンジが広がる

クラブラウンジのフードプレゼンテーションはやや抑え気味だが、昼間からシャンパーニュのサービスがあるのはうれしい

ダイニングルーム「Auden Bistro & Bar」のバーカウンター。人気のバーで終始にぎわいを見せている

ダイニングルーム「Auden Bistro & Bar」。バーカウンターを中心にダイニングとスター・ラウンジが連結した動線で使い勝手が良い

キャビネットやライティングデスクのあるシッティングエリア

「Deluxe Park View Suite」のリビングルーム

バスタブ側の壁面に絵画を飾ったクラシカルなバスルーム

部屋からは広大なセントラルパークを眼下に一望できる