国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Hotel Principe di Savoia, Milan

 
“サヴォイア家のプリンス”「The Principe」の愛称で親しまれている。

 
 ミラノには世界的高級チェーンホテル、著名なデザイナーズホテルなど多くが進出しているが、その中でも屈指の伝統を誇るホテルはプリンチペ ディ サヴォイア「Hotel Principe di Savoia」であろう。ホテルは樹木が茂ったミラノの共和国広場に臨み、そのネオクラシックなファサードからもホテルの風格と歴史が漂う。20世紀の初期、この広場には旧ミラノ中央駅があり、1927年に開業したホテルは駅周辺の再開発という一面を持っていた。創業時はミラノ中心部から北部に位置していたため、“北ホテル”「Hotel du Nord」の名称で営業していたが、後にホテル名は改称され、“サヴォイア家のプリンス”「The Principe」の愛称で親しまれている。


 
 プリンチペ ディ サヴォイアは第二次世界大戦中にドイツ軍の本拠地となったが、戦後はアメリカ軍の司令本部として使用された。幾多の変遷を経て、ホテルが欧州の著名ホテルグループ“Compagnia Italiana Grandi Alberghi”「CIGA」のメンバーだった時代に、ホテル名称を現在の「Principe di Savoia」に変更している。1984年にスターウッドホテル&リゾートはCIGAホテルズの支配権を獲得。その後2003年、ホテルはブルネイ投資庁「BIA」が所有する高級ホテルブランド「Dochester Collection」に買収された。現在、イタリアではローマのホテルエデンと共にドーチェスターグループ傘下で高い評価を得ている。


 
 プリンチペ ディ サヴォイアは市中心部から少し外れているにもかかわらず、ミラノきっての待ち合わせスポットである。昼間はラウンジ「Il Salotto」のアフタヌーンティー、夜はメインバー「Principe Bar」で地元のお洒落なセレブたちで賑わっている。今回は約90㎡の広さを誇る「Principe Suite」を紹介したい。正統派のリビングはもちろん、華やかなベッドルームとゴージャスなバスルームが人気のスイートだ。メインダイニング「Acanto Restaurant」は本格的イタリア料理のレストランで、若きスターシェフのAlessandro Buffolinoが腕を振るい、彼の“お任せ料理”である「The Chef’s Table」は圧巻である。スパ施設「Club 10 Fitness & Beauty Center」はスイミングプールと五つのトリートメントルームを用意している。


 
 プリンチペ ディ サヴォイアには天皇皇后両陛下もお泊まりになり、ヴェネツィア映画祭で金獅子賞に輝いたソフィア・コッポラ監督の映画「SOMEWHERE」のロケにも使われ、ホテルへの注目度は高い。ミラノ中心部のスカラ座へはメルセデスのバンがシャトル運行しており、ギャラリアやドゥオモの観光にも嬉しいサービスと言える。


プリンチペ ディ サヴォイアの華やかな正面エントランス車寄せ

スマートな規律感が漂うレセプションデスク

アフタヌーンティーで人気のロビーラウンジ「Il Salotto」。ミラノきっての待ち合わせスポットでもある

メインダイニング「Acanto Restaurant」は、若きスターシェフのAlessandro Buffolinoが腕を振るう

「Acanto Restaurant」は本格的イタリア料理のレストランで、シェフの“お任せ料理”といえる「The Chef’s Table」は圧巻である

プレートやカトラリーもクリスタルの輝きで満ちたテーブルセッティング

「The Chef’s Table」での料理の数々

「Acanto Restaurant」の美しい店内

重厚、かつ威厳あふれるライティングデスク

十分な広さを確保した正統派のリビングルーム

ホテルGMからのホスピタリティーが伝わるウェルカムアメニティー

独立したバスタブとローズウッドのツインシンクが映えるゴージャスなバスルーム