国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Hotel B, Relais & Chateaux

 

ライブラリーやアートワークラウンジなど、
一味違うペルー・リマの滞在に変化を持たせてくれる隠れ家的ホテルだ。

 
 ペルーの首都リマに南米で最もエレガントと思われる瀟洒なブティックホテルがある。その名はホテル・ビー「Hotel B」。太平洋に面する高級住宅街のミラフローレスに隣接し、アートとファッションの集積地とも言えるハイセンスなエリア、バランコ地区の中心部に立地している。1914年にフランスの建築家クロード・サウトによって設計された正面ファサードは美しい円柱を多用したベルエポック様式の華麗な外観を誇る。建物は当初から引き継ぐレガシーをそのままに、当時のペルー大統領アウグスト・レグイアのサマーハウスとして活用された。時を経て、1920年代ベルエポックの象徴とも言える白亜の邸宅はRelais & Chateauxに加盟し、洗練された僅か17室のブティックホテルへと変貌を遂げた。


 
 Hotel Bというユニークなホテル名の由来は定かではないが、“Barranco”地区を代表する意味でイニシャルの“B”を掲げたと思われる。ホテルBは周辺地域のボヘミアンな雰囲気からインスピレーションを得て、館内に現代的なラテンアメリカとペルーのアーティストのプライベートコレクションを掲げている。“アート・ブティックホテル”を名乗るだけあり、ホテル内は美術館を思わせる現代的なペルーの芸術家の作品を多く展示し、滞在したゲストの目を楽しませてくれる。


 
 Hotel Bは歴史的な邸宅マンションと増設された新館から構成され、3つの違ったタイプの客室「Alcoba」「Aposento」「Atelier」の17室を数える。今回は約40㎡の広さを持つ最上級タイプの「Atelier King Bed Room」を紹介したい。コンテンポラリーにしてクラシカルな雰囲気が漂う部屋で、玄関前の落ち着いたフォイエー「Foyer」がゲストを出迎えてくれる。朝食はアットホームな雰囲気のブレックファストルーム「El Patio」で用意され、クオリティの高いメニューを堪能できる。メインダイニング「El Restaurant」はバーラウンジとディナーセッティングに分かれ、バーカウンター背後に色彩豊かなペインティングが飾られ心地よい気分に浸れる。


 
 貧富の差が大きいペルーにあってHotel Bの宿泊レートはかなりの高額だが、どのタイプの部屋であってもゴージャスな朝食と「El Restaurant」でのアフタヌーンティーが含まれている。また、部屋数が17室ということでスタッフ一同のホスピタリティも行き届き、滞在に不足はない。館内はライブラリーやアートワークラウンジなどパブリックスペースも充実しており、一味違うペルー・リマの滞在に変化を持たせてくれる隠れ家的ホテルだ。


建物は当初から引き継ぐレガシーをそのままに、当時のペルー大統領アウグスト・レグイアのサマーハウスとして活用された

館内はライブラリーやアートワークラウンジなどパブリックスペースも充実している

館内廊下には現代的なラテンアメリカとペルーのアーティストのプライベートコレクションを多く掲げている

ロビーラウンジのソファに座った可愛らしいアルパカのマスコット。背後にも四体の前衛的な塑像が置かれている

“アート・ブティックホテル”を名乗るだけあり、ホテル内は美術館を思わせる現代的なペルーの芸術家の作品を多く展示している

朝食はアットホームな雰囲気のブレックファストルーム「El Patio」で用意され、クオリティの高いメニューを堪能できる

テーブルにセッティングされた数多くの朝食メニュー。そのほか多くのホットミールを個別に注文できる

エレガントなソファ席でのブレックファストセッティング

メインダイニング「El Restaurant」はバーラウンジとディナーセッティングに分かれ、こちらはバーラウンジのコーナー

バーカウンター背後に色彩豊かなペインティングが飾られ心地よい気分に浸れる

キングベッドの上に用意された黒のネクタイには訳がある。ドアノブにこのネクタイを掛ければ「Do not disturb」というユーモアあふれる意味になる

広い面積を確保したバスルーム。使いやすいツインシンクとお洒落なバスタブなどデザイン性豊かだ

客室玄関前の落ち着いたフォイエー「Foyer」。専用スペースなのでリビングルームとして使える

「Hotel B」を示す“B”のロゴをセンス良く使用したアメニティー。ルームキーもそのまま“B”である