国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Hotel Grande Bretagne, Athens
 

1987年に世界遺産にも登録されているパルテノン神殿を
身近に感じられる貴重なホテルと言えよう。

 
 ホテル グランド ブルターニュ「Hotel Grande Bretagne、Athens」は、国会議事堂のあるアテネの心臓部「シンタグマ広場」に面して建つアテネ屈指の伝統と格式を誇る名門ホテルである。オリジナルはギリシャの大富豪であったアントニス・ディミトリオウ氏が1842年に建てた大邸宅だ。建物は後に買収され、大改修された後、グランド ブルターニュとして1874年にオープンした。第二次大戦中のナチス占領下ではヒトラーが滞在し、チャーチルやアイゼンハワーを迎えるなど、外交交渉の場や歴史の舞台となったアテネのランドマークホテルである。戦後の経済混乱期を経て、ギリシャがEU加盟国としての近代化の道を歩んできた苦難の歴史を見守った由緒あるホテルと言える。


 
 グランド ブルターニュは、スターウッドグループの「Luxury Collection」の傘下にあり、建物は8階建て、ゲストルームはスイート58を含め全320室を擁する大型ホテルだ。1896年アテネ開催の第一回近代オリンピックでは選手・役員、また外国の国王や首脳らも宿泊したという。2003年に大規模な改装工事が行なわれ、レストラン・バーなど洗練した諸施設が大幅に充実した。その際バトラー制度も拡充させ、バトラーフロアのゲストは専用ルームでゆったりとチェックインできる。


  
 グランド ブルターニュの最大の見どころは「GB Roof Garden Restaurant」であろう。人気のテラス席から間近にパルテノン神殿、そして国会議事堂はもちろん、シンタグマ広場で行なわれる衛兵の交替式などが望める。今回はホテルを代表するスイート「Presidential Suite」を紹介したい。約200㎡の広さを持ち、リビング、ダイニング、ベッドルームなど贅をつくした造りで、もちろん専用テラスからアクロポリスの丘も望める。エントランスホールの奥に気品あるラウンジ「Winter Garden」があり、アフタヌーンティーのゲストで賑わっている。隣接したメインバー「Alexander’s Bar」のカウンター背後に掛けられた大型のタペストリーが圧倒的な存在感を誇る。スパ施設「The GB Spa」はゴージャスなスイミングプールが好評で、さらに屋上にはアテネ市街を望めるアウトドアプールもあり「GB Pool Bar & Grill」を併設している。


 
 パルテノン神殿は古代ギリシャの最も重要な遺跡であり、1987年に世界遺産にも登録されている。パルテノンの名前は、“処女宮”という意味の「パルテノスParthènos」に由来し、処女神アテナに捧げた宮殿である。グランド ブルターニュは、そんなパルテノン神殿を身近に感じられる貴重なホテルと言えよう。


正面エントランスに立つ正装のドアマン

歴史を感じさせる重厚な雰囲気のレセプションデスク

エントランスホールの奥に華麗なラウンジ「Winter Garden」があり、アフタヌーンティーのゲストで賑わっている

メインバー「Alexander’s Bar」のカウンター背後に掛けられた大型のタペストリーが圧倒的な存在感を誇る

スタイリッシュなレセプションデスク。向かい側にコンシェルジュデスクを用意している

グランド ブルターニュはバトラー制度が充実しており、バトラーフロアのゲストは専用ルームでゆったりとチェックインできる

メインダイニング「GB Roof Garden Restaurant」のテラス席から望むアクロポリスの丘

右手に国会議事堂とアテネの心臓部「シンタグマ広場」を望む

屋上テラス用意されたアウトドアプール。アテネ市街を見渡すことができ、バー&グリル「GB Pool Bar & Grill」を併設している

スパ施設「The GB Spa」はゴージャスな屋内スイミングプールを用意している

ダイニングに隣接したリビングルーム

スイート「Presidential Suite」の奥に設置されたベッドルーム

専用テラスから望むライトアップされたアクロポリスの丘

ゴージャスなバスルームのパウダーコーナー