国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Ashford Castle

アイルランド最古のキャッスルで、高くそびえる楼閣や複雑に入り組んだ城郭建築は、
まさに中世の城に我々が抱くファンタジーそのままの姿で現存する貴重なホテルである。

 
アシュフォード キャッスル「Ashford Castle」は、ノルマン系イングランド人のバーク家によって、1228年に修道院の遺跡であった土地に建てられた。アイルランド最古のキャッスルで、高くそびえる楼閣や複雑に入り組んだ城郭建築は、まさに中世の城に我々が抱くファンタジーそのままの姿で現存する貴重なホテルである。かつてギネスファミリーに所有されたこともあり、1939年に高級ホテルとしてオープンした。客室とスイートはオリジナルの特徴を細部まで修復した伝統的なデザインで、クラシカルな意匠の中にもモダンなアメニティーを共に備えている。ホテルは2013年、高級ブティックホテルを展開するグループ「The Red Carnation Hotel Collection」に買収された。その後、徹底的なリノベーションを施して2015年にLHWに加盟して本格的に再オープンしている。

 
アシュフォード キャッスルはアイルランド西海岸の中心都市ゴールウェイの北、コリブ湖畔にある風光明媚なコングの町にある。1951年に、映画監督のジョン・フォードはジョン・ウェインとモーリン・オハラが主演する『静かなる男』を撮影するためにこの城を訪れた。アシュフォード城の土地及びコングの近隣は、映画でエピソードの多くの背景として使用され、当時は大きな話題を集めた。


 
アシュフォード キャッスルはスイートを含め全83室を擁し、すべて意匠の違う部屋から構成されている。今回は「Lake View Junior Suite」をご紹介したい。天井が非常に高く、ベッド上にロフトを用意したスイートで、窓からはコリブ湖の美しい風景が望める。メインダイニング「The George V Dining Room」は英国王ジョージ5世とメアリー王妃の名を冠した格調高いレストランで、エグゼクティブシェフのPhillippe Farineau氏が腕を振るうアイルランドのクラシック料理を堪能できる。「The Prince of Wales Bar」は皇太子時代の英国王ジョージ5世を冠したバーで、皇太子のロイヤルワラントが椅子やクッションに記されている。スパ施設「The Spa at the Ashford Castle」は“Ireland's Best Hotel Spa”のアワードを誇る。


 
アシュフォード キャッスルの庭園の南端には365の島々が浮かぶコリブ湖を望め、まさに日本の墨絵のような情景が広がる。アシュフォードの雰囲気に魅せられて、20世紀初めには英国皇太子、後の国王ジョージ5世が古城に1か月も滞在したという。また、『静かなる男』の撮影中にはジョン・ウェインら撮影陣が滞在し、レーガン元大統領やモナコのレーニエ3世とグレース公妃らも宿泊した名門ホテルである。


アシュフォード キャッスル「Ashford Castle」は、ノルマン系イングランド人のバーク家によって、1228年に修道院の遺跡であった土地に建てられた。アイルランド最古のキャッスルで、高くそびえる楼閣や複雑に入り組んだ城郭建築は、まさに中世の城に我々が抱くファンタジーそのままの姿で現存する貴重なホテルである

庭園の南端には365の島々が浮かぶコリブ湖を望め、まさに日本の墨絵のような情景が広がる

中2階の回廊から俯瞰した館内中央部に位置するロビーラウンジ。中2階の回廊部分にはライブラリーやゲストブックルームなどがある

アフタヌーンティーで有名な「The Connaught Room」の壮麗な佇まい

メインダイニング「The George V Dining Room」のエレガントなテーブルセッティング。英国王ジョージ5世とメアリー王妃の名を冠した格調高いレストランで、エグゼクティブシェフのPhillippe Farineau氏が腕を振るうアイルランドのクラッシク料理を堪能できる

「The George V Dining Room」の優雅なディナー風景

「The George V Dining Room」の地下部分には広大なワインセラーを保有している

ベッドサイドから望む「Lake View Junior Suite」。天井が非常に高く、ベッド上にロフトを用意したスイートで、窓からはコリブ湖の美しい風景が望める

キングサイズベッドはクラシカルな天蓋が付き、左側の階段からベッド上に用意されたロフトに上がれる

清潔感あふれる広いバスルーム

スパ施設「The Spa at the Ashford Castle」内にある優雅な室内プール