2014年7月、台北に久しぶりに国際的な最高級ブランドホテルが誕生した。マンダリン オリエンタル 台北「Mandarin Oriental, Taipei」(以下、M.O/台北)がそのホテルだ。最近のオークラ プレステージや小規模のデザイナーズホテルの開業が相次ぐ台北のホテル業界で、Wホテル以来の衝撃を持って迎えられた。台北のラグジュアリーホテルを牽引してきたリージェント台北やシャーウッド台北は既に老舗の域にあるのに対し、M.O/台北のスタンダード客室でも55㎡ある余裕の空間レイアウトは新鮮に映る。フォーブスのファイブスター・プレートが正面エントランスに誇らしげに掲げられ、その自信の程が伝わってくる。
M.O/台北は新築のホテルだが、アジアのホテルに多く見られる派手なイメージとは違い、ヨーロッパのクラシカルな落ち着いた品格を感じさせる。デザインは1930年代のエスプリを感じさせるアールデコ様式で、エントランスホールには著名なチェコのデザイナーTafana Dvora-Kova氏による、5万個のクリスタルの結晶からなるシャンデリアがめく。クラブフロアのラウンジ「Oriental Club」のクオリティは高く、フード・ビバレッジのプレゼンテーションの内容も満足いく。
M.O/台北の館内はクラシックかつモダンな内装の256室の客室と47室のスイートを擁した贅沢な空間だ。今回は86㎡の広さを持つ「Club City Suite」をご紹介したい。専用ラウンジ「Oriental Club」へのアクセスが付き、リビングやバスルームもゆったりとくつろげる贅沢な空間だ。2018年にミシュラン1ツ星を獲得したチャイニーズレストラン「Ya Ge雅閣」は、著名デザイナーのトニー・チー氏が内装を設計しており、正統派中華料理のテクニックをベースに、現代的な洗練さを加えて創作した料理は感動的である。オールデイダイニング「Café Un Deux Trois」は華やかな雰囲気で、朝食ビュフェのメニューはバラエティーに富み満足度は非常に高い。スパ・ウェルネスでは「The SPA at Mandarin Oriental」があり、スパ施設として台湾のホテル最大のスペースを誇り、オープンエアのスイミングプールも素晴らしい。
M.O/台北の外観はヨーロッパのネオクラシックのスタイルを持ち、台北の中心地にありながら緑の自然に恵まれている。館内には世界でも有数のアーティストである韓国のイ・ジェヒョや、水墨画アーティストの朱偉(ジュー・ウエイ)の作品など、1700点以上もの美しくて高感度なアート作品が展示されており、ゲストの目を楽しませてくれる。台北でいま最も輝いているホテルと言えよう。