国際ホテルジャーナリスト 小原康裕が訪れる世界のリーディングホテル

Esplanade Zagreb Hotel
 

オリエント急行に乗ってザグレブへやってくるヨーロッパの貴族や著名人たちが滞在するためのホテルとして、
1925年にザグレブの中央駅のすぐ隣に建てられた最高級ホテルである。

 
 エスプラナーデ ザグレブ「Esplanade Zagreb Hotel」はザグレブ屈指の伝統を誇る迎賓館ホテルで、各国大使館主催のパーティー会場にもなる格式あるホテルだ。その歴史はオリエント急行がパリ=イスタンブール間を国際長距離列車として走っていた時代に遡る。オリエント急行に乗ってザグレブへやってくる乗客、主にヨーロッパの貴族や著名人たちが滞在するためのホテルとして、1925年にザグレブの中央駅のすぐ隣に建てられた最高級ホテルである。築100年近い建物は2004年に全面改装されたが、オリエント急行の乗客が宿泊していた頃の面影が所々に残る興味深いホテルだ。


 
 クロアチアの首都ザグレブは人口約80万人の美しい古都だ。旧ユーゴスラビア連邦の一員であった他の国々の首都と比べて洗練された、そしてザグレブの語感から受けるドイツ風の街並みが心地よい。クロアチアは1992年にスロベニアに次いで2番目に旧ユーゴスラビアから独立している。国名の“Croatia”という発音は、英語でクロエイシャが一般的で、クロアチアとローマ字読みで発音するのはだぶん日本だけかも知れない。新市街の整然とした重厚な街並みに対し、旧市街はゴシックやバロック様式の華やかな建築物が多く、13世紀ごろから文化・芸術において発展して来た歴史を肌で感じられる。 


  
 白亜の美しい佇まいは、“バルカン半島はここで終わり、文明はここから始まる”というホテルの歴史を表現しているようだ。今回は正面ファサード中央に位置する「Junior Deluxe Suite」を紹介したい。約50㎡の広さを持つ気品ある部屋で、テラスからザグレブの街並みを望める。メインダイニング「Zinfandel’s」は著名な女性シェフのAna Grgic氏が腕を振るう旧ユーゴ随一のファインダイニングで、その名はクロアチア原産のブドウ種の“ジンファンデル”に由来する。その他、お洒落なカフェ「Le Bistro」、ラウンジバー「Esplanade 1925 Lounge & Cocktail Bar 」など多彩で楽しめる。スパ施設は「Esplanade Health Club」でトリートメントやマッサージなど充実しており、とくにロクシタンとタイアップした「Esplanade Spa Ritual by L'Occitane Bath」が好評だ。


 
 エスプラナーデ ザグレブは2002年に全館クローズして全面改修の後、2004年11月に「The Regent Esplanade Zagreb」として盛大に再オープンした。現在はRegent の名称は解消しているが、エントランスホールにある大型の丸時計は、オリエント急行の発着を知らせていた当時の面影を残している。


正面エントランスに立つ正装のドアマン

歴史を感じさせる重厚な雰囲気のレセプションデスク

エントランスホールの奥に華麗なラウンジ「Winter Garden」があり、アフタヌーンティーのゲストで賑わっている

メインバー「Alexander’s Bar」のカウンター背後に掛けられた大型のタペストリーが圧倒的な存在感を誇る

スタイリッシュなレセプションデスク。向かい側にコンシェルジュデスクを用意している

グランド ブルターニュはバトラー制度が充実しており、バトラーフロアのゲストは専用ルームでゆったりとチェックインできる

メインダイニング「GB Roof Garden Restaurant」のテラス席から望むアクロポリスの丘

右手に国会議事堂とアテネの心臓部「シンタグマ広場」を望む

屋上テラス用意されたアウトドアプール。アテネ市街を見渡すことができ、バー&グリル「GB Pool Bar & Grill」を併設している

スパ施設「The GB Spa」はゴージャスな屋内スイミングプールを用意している

ダイニングに隣接したリビングルーム

スイート「Presidential Suite」の奥に設置されたベッドルーム

専用テラスから望むライトアップされたアクロポリスの丘

ゴージャスなバスルームのパウダーコーナー